私はコンセプトに基づき、1997年から「農」をテーマに、より現実的な実践プログラムを実行してきました。
「田植プロジェクト」という一般観衆を巻き込んだアートプロジェクトです。
水田という我々にとっては当たり前になってしまったアジアの原風景の中に彫刻作品を点在させ関係付けることによって
我々にとっての根源的なものと今日的な問題を提起できないかと考えています。
アーティストが美術という,閉じられ易い制度の中でのみの発表で満足するのであれば
もはやアートは現実社会とのダイナミックな関係を失い、やがてはアーティスト自身みずみずしい感動や表現力も失われて行かざるを得ません。
反対に勇気を奮い起こし、広く現実社会に一歩踏み出し、時に美術に関心の薄い一般大衆の乱入も歓迎する。カオスを引き入れる。
そのことによって美術をより活力あるものにし、かつ、開かれたものにしていけないか。
また一方、企画に参加した人々も美術のカオスに触れて、自らをさらに深く問う契機になりはしないか。
セツ・スズキ